経理の仕事は地味に思われるかもしれませんが、きちんと数字で管理して会社を守る砦なんですよ。
経理の仕事で手形割引で資金を調達する作業があります。
東京では以前に比べると手形の枚数は随分減ったそうですが、一枚一枚形式チェックして帳簿と突合したり、整えて銀行に持ち込んだり、なかなか手間が掛かります。
毎月手形を見ていると、それぞれの手形には「顔」があり、発行会社のことがなんとなく見えることがあります。
経験で分かってきたコツを少しだけお教えします。

支払期日を訂正したもの

手形は世の中に流通するものですので、誰の手に渡るかわかりませんので、できるだけ綺麗な状態で流通させるのが手形を発行する会社の取る行動です。
もちろん、お金の支払いを約束するものなので、必要な条件を明記してあることが形式上求められていることもあり、明瞭に分かりやすくという観点も欠かせません。

さすがに金額を訂正した手形は見ませんが、支払期日を訂正した手形はたまに見かけます。
大抵が支払期日を遅らせるように訂正してあります。
まずは、支払期日のような大事な記載要件を簡単に訂正して手形を流通させる無神経な会社であると言えます。

次に、もっと重要なことですが、支払期日を遅らせるということは発行会社の資金繰りが回っていないことが推測され、資金面で管理がずさんな会社であると言えます。
このような会社との取引に対し保全措置を取ることを進言したり、営業さんに会社を見てきてもらうよう依頼したり、とやることが増えますが、守りの砦として大事な仕事です。

複数枚の印紙が貼ってある手形

「別に印紙なんて指定金額が貼ってあれば大丈夫でしょ」という声も聞こえてきそうです。
確かに、郵便だと記念切手を敢えて何枚も貼るというケースもあるかも。
自分の会社もそうなのですが、印紙は領収書や契約書など貼付する場合に備えてある程度の金額毎に準備しています。

もちろん高額印紙の管理には気をつけないといけませんが、たとえ高額印紙でもわざわざ購入して貼付するようにしています。
でも、印紙がベタベタ貼ってある手形を見ると、そのような準備ができていないずさんな管理の会社であることがわかります。

お金の関係する世界は「信用」が大切なので、特に手形のような外部に流通するようなものに対しては通常注意が払われます。
誰がどのように思うか、わかりませんので。

先程のような手形を平気で発行する会社は、自社の信用に対し比較的無関心であることが想像されます。
そのような会社は、今は大丈夫でも将来は…と考え、これの場合も上司に報告する対象となります。